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劇団献身主宰の奥村徹也のブログ。愛想を振りまくtwitterと違い、1日平均アクセス数3の当ブログでは好きなこと、書きづらいことをたくさん書きます。右の猫がかわいい。
餃子の山と木村と僕の懐と
2011年09月21日 (水) | 編集 |
昨日は初稽古だった。奥村です。

楽しかった。楽しすぎたので、帰らずにみんなで王将に行った。

そしたら王将で「チャレンジ7」という企画をやっていた。そのポスターを見ると至ってシンプルに餃子7皿。「15分で全部食べたら無料!」と書いてあった。

今回の芝居のテーマは「チャレンジ」なので

というかテーマを「チャレンジ」にしようとその場で決め

というかテーマは「チャレンジ」だと思いこむことにして


後輩の木村にやらせた。


「腹ペコではないから」という木村を、先輩の権力をもってねじ伏せた。

「いいよ、食べきれなかったら俺が払うから」と僕は先輩としての懐の深さをちらつかせる。木村はリスクがなくなったことで「やります」と僕に言った。


だけどもし残されて、自分が食ってもないものに金を払うのも嫌だなあと思った。だから木村が気づかぬよう少しずつ言葉を濁していき最終的には「とりあえず、半分は払ってやる。でも餃子に対してお前が気を抜いたパフォーマンスをしようものなら一切払わぬ」という条件と相成った。

木村は僕の巧みな誘導に気付かず、僕の主観次第で全額自腹のリスクも有り得るという事態になったにも関わらずチャレンジの決意を曲げなかった。ばかでよかった。


横で同期の福田が計算をする。
「一皿6個。7皿で42個。15分は900秒。1個あたり21秒で食べればいけるはずだ」

こいつやるなあと思ったが、福田だったのでその分析は無視した。


餃子がやってきた。
ものすごい量だ。餃子をこんなに食べれるわけがない。木村かわいそう。奥村さんひどい。木村自腹だ。どうせならさっさと諦めてみんなでおいしく頂こう。

みんないろいろ思った。空気が重かった。

後に木村はこの時の心境を振り返り「やっちまったなと思いました」と語っている。


タイマーが置かれ、店員の合図でスタートした。

1個21秒。
時間的には難しくないはず。

まず一つ目。木村が勢いよく口に放り込み、吐き出した。


熱々だったのだ。

王将は王将で策を練ってきていた。焼きたてで容易には食べることができない。

1個目50秒。

僕はもう諦めて自分の王将ラーメンがのびてしまう前にちゃきちゃき食っていた。みんながなんとなく自分が頼んだチャーハンとかの方を大事にし始めた。木村は痛々しかった。触れないでおくのが優しさだと思った。

しかし、人間は「知恵」というものを持っている。それはろくに受験もせずに入った三流大をしかも中退の木村圭介でも例外ではなかった。

水を、飲みだしたのだ。

熱々の餃子を口に放り込み、水で冷やす。そしてそのまま流しこむ。これで皮からあふれ出る肉汁を瞬時に冷却せしめてしまうというのだこの男は!繰り返すうちにペースはみるみる上がっていき1個20秒もかからなくなっていった。会場がどよめく。木村、すげえすげえよ!みんな自分のラーメンそっちのけで、木村を応援しだした。

後に木村はこの時の心境を振り返り「餃子を、飲もうと思ったら楽になりました」と語っている。

そこからは全員野球だった。
木村が飽きぬよう、酢醤油を作り、水を随時継ぎ足し、福田がラップタイムを報告し、それを無視し、皿を片づけ、声をかけた。

しかし、

残り12個で手が止まった。

木村の手が震えている。もとより木村は腹ペコではなかったのだ。限界がきてしまったか。

人間は10分を超えると急に満腹感を催すと聞いたことがある。残り4分、やはり、限界か……。

その時、木村がチャレンジが始まって初めて言葉を発した。

「マヨネーズ!」

急いで店員さんにマヨネーズを持ってきてもらう。すると、奇跡が起こった。木村の手が再び動き出したのだ。

後に木村はこの時の心境を振り返り「味を変えてみようかと思いました」と語っている。

ラストスパート。木村の目にもう迷いはなかった。敬老の日で孫たちと来ていたおじいさんも応援してくれている。店中が木村の味方だった。

のこり30秒、あと、1個。

最後の1個を口に入れる。
瞬間、歓声が上がった。

木村圭介が男になった瞬間だった。みんなでたたえた。

僕は、お金を払わなくて済んでよかった、と思った。


後に木村はこの時の心境を振り返り「あきらめないことが大事ですね」と語っている。

何事も諦めぬことだ。ありがとう、木村。店のコルクボードに木村の達成感に満ちあふれた写真が貼られている。


とりあえず、初稽古はこんな感じでした。

木村は役者で出るよ。
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